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ガンズ・パピー1-4-1
- 2009-01-29T22:28:28
- れもら乃輔
「ガンズ・パピー」
第一話、「Open Fire」
第四章、「野良犬一匹」(1)
その後、僕はたまたま(だろうね?)出会ったリュグマンさんに、「ハウス」への道を聞いたけど、今日はなんと定休日だそうだ。どうりで、決闘関連の情報が無いわけだ。というか、なんだよ、定休日って。
でも、それだから街にいつもの緊張感がなくて、こうして大勢の人が市場で買い物してるんだろう、とも思う。
「今日はね、アッサムの良い茶葉が手に入ったんだ。」
リュグマンさんは嬉しそうに、軽く2、30個はある缶の山を抱えている。一つの缶は、大体ツナ缶の二倍だと思ってもらえれば、解り易いかも知れない。それが山になっている。これ、僕には持てないな。腕のリーチと上背のあるリュグマンさんだから、まだ顔が横からでも見えるんだな。
そして、僕たちはそのまま、ミラがぶーたれて待っているだろう「バレット」へ、二人で、行きたかった、のに。
「兄(あに)さんっ!お持ちしやスっ!」
といって、例の素人強盗がリュグマンさんの缶を強引に受け取るが、それが精一杯な様子で、膝が完全にくの字以上に曲がって震えている。
なんなんだ?この人は。
「どーすか?おれみたいなんがいると、便利っしょ!?」
笑顔で言ってるけど、実際は余計な手間を取らせてる事に気づいているのか、いないのか。
困惑した僕からの視線に気づくと、ニカッ!と今時歯をきらんとさせて、僕にアッピールしてくる。
あ、気づいていないな。絶対・・・。頭痛がする。
いくら、強い僕に華麗にのされたからって、直ぐに弟子入りとか考えるかな?
因みに、最初にちゃんと断った。
「弟子とか、そんなの全然解らないし、強盗はやったことがないので、今回は縁がなかったという事で。」
これほど完ぺきな断り方なのに、理解されなかったみたいだ。
リュグマンさんが可笑しそうに、「話だけでも聞いてあげたらどうだい?」なんて、無責任なこと言うから、素人強盗の彼、はりきっちゃって。
「お供させて頂きやス!!」
と、敬礼までする始末。まあ、しょうがないか。あの領域は教えられるものじゃ無いって、ちゃんと解ってもらえれば、諦めるだろう。
しかし、彼、汚いな。まずはどこかでシャワーかなんか浴びてもらおう。「バレット」のような食事を出す場所には、最低限臭いとかなんとかきれいにして、行くべきだろう。
なんか、野良犬拾って連れ帰る時の気分にも似ているような、そんな気持ちだ。
「師匠!笑った顔もイカス!!」
シッポ振り過ぎ、減点3。
人生は奇怪だ。
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