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ガンズ・パピー1-1-1
- 2009-01-29T22:09:56
- れもら乃輔
「ガンズ・パピー」
第一話「Open Fire」
第一章、「決闘代理人」(1)。
決闘という、なんとも古めかしく血生臭い習慣が、大手を振って復帰したのは、まあ、当然の事態だった。
と思うぜ、オレなんかに言わせればよ。
ようやく人間は、自分個人の力で何とかしようという、野生の血に目覚めたというわけだ。
欲しけりゃ戦え、守りたければ闘え。
しかし、どうしたって、そういうのが苦手というか出来ない連中もいる。
か弱い女子供や、老人、それに大金持ち様とかだ。
そこでだ、お上は考えたわけだ。
それよか前に手ぇだした、鼻の利く連中も多かったがな。
そう、代理人制度よ。
決闘代理人。
依頼主の権利と正義を賭けて戦う、喧嘩好きのバカ野郎さ。
規定の報酬でも、そこそこなもんさ。
ま、死ぬこともあるがな。
それでも、こんな腐った世の中じゃ、すっきり死ねていいかも知んねぇぜ。
第一、大儀のために死ぬってのが、いいな。お前ぇ、見たことあるか、マカロニウェスタンとか。カート・コバーンに、イーストウッド、カァーーーーッ!!!ああいうのが本物だなっ!おいっ!?
おい、と聞かれても、僕は曖昧な作り笑いでその場をかわすのが精一杯だった。
しかし、この人、本当に政府の人なんだろうか?
テンガロンハットに、拍車のついたウェスタンブーツ。僕と話している間も、噛みタバコをくちゃくちゃと行儀が悪い。
この人にとっては、ここは天職なんだろう。
人生とは奇怪だ。
こうして僕は、「決闘代理人」としてこの街に入った。
変な金属性のバッジを、決闘代理人の証として、彼の保安官殿からもらった。
実際に、例に「保安官殿」と、渡される際に言ってみたら、「よせやい。」と言いつつも、満更ではないらしく、ビーフジャーキーを一袋くれた。
悪い人ではなさそうだ。食べ物をくれる人は良い人だ。
自分の好物を分けてくれる人は、尚更だ。
鈍い銀色に光るそのバッジには、ダイスと天秤と剣が彫り込まれている。
ダイスは運を。天秤は公平を。剣は正義を。
そんな所だろう。案外まともだ。
僕の名前が彫られている。
Aski
アスキ、それが僕の名前だ。
「明日来」と「漢字」では書くらしいが、それを使っていた国はもう無いので、使わない方が伝わる。
ここには、闘うためにやってきた。
そう、育ったから。
そのための武器も持ってきた。
早速にも一働きしたいので、僕は依頼を受けるために、「ハウス」と呼ばれているらしい、施設へと向かった。
道は、ジャーキーをくれる際に教えてもらった。
途中のビル、いや、元ビルのコンクリートの残骸には、余すところなく弾痕がある。
風に乗って漂う香りは、硝煙のものだ。
C4の匂いもある。
空の薬きょうが、コロカラと転がる。
戦場だ。この街は戦場だ。
人気のない街で、そこには黒山の人だかりが出来ていて、すぐにわかった。
皆、殺気だっていて、重装備だ。
彼らも僕と同じなのだ。
そして、彼女にもそこで出会う羽目になってしまった。
人生は奇怪だ。
2001年ごろドリキャスで書いてたの。稚拙だけども勢いはあったかも。
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