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発掘、かなり恥ずかしい短編メルヘンな意味で。

短編。



「この空は青」




「ねえ、君はなぜこの空が青いと思う?」



 どこか、遠くで鳴くウミネコの声を聞きながら、僕は砂浜に寝ころんだまま、その空を見上げた。

 空が青い理由。

 なんだろう。

「時間切れ、は無いから、いつでもいいよ。」

 いつもそうだ。僕があのコから出される問題に制限時間はない。それは、「競うものじゃないから」らしい。

 それだけ言うと、また、静かに打ち寄せる波に、なにかしらの足跡を残しに、あのコは駆けていった。

 空。

 僕らが見ているのは、本当に空の色なんだろうか。空の青なんだろうか。

 空はどこから空なんだろう。

 水平線と地平線、確かに見えはするけれど、それと同じくらい、とても曖昧だ。

 大気の層が、青い光だけを反射するから。

 それは、理屈だ、あのコの問題の答は、こういう理由とかじゃないと僕は。


 なぜ、空が青いと思う?



 あのコが聞いたのは、僕の「思う」だ。

「どう?」

 ひとしきり跳ね廻って満足したのか、あのコが少し肩で息をしながら、僕の横に座り、同じように空を見上げる。

「海が青いから。」

 そう、思った。

「じゃあ、海が青いのはなぜ?」

 可笑しそうにあのコが問題を重ねる。少し、ルール違反の気もしたけれど、答は解っていたので僕は許す。

「空が、青いから。」

「へんなの。」

「そういうもの。」

「ふうん。」

 たぶん、この空が青いままで、この海が青いままで、僕が君のままで、あのコがあのコのままで、この世界は終わるのだと思う。

 それはそれで、僕は少しだけ、嬉しいと悲しいの曖昧さに浸れる。

 僕はかなりわがままだ。


言い訳はしない!(笑)

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