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発掘プロット練習3

:学園・ファンタジー

主人公の現在:開放

主人公の近い未来:厳格の逆(付加:変化・制約)

主人公の過去:理性(付加:秩序の逆・生命)

援助者:庇護の逆

敵対者:寛容の逆(付加:調和の逆・結合)

結末:公式の逆(付加:至誠)



プロット。「影の王子」

 主人公クロワは、スクワイヤ(見習い騎士)として、辺境の国の辺境の寄宿舎に他の見習い騎士と共に生活している。クロワの父親は厳格で真面目な騎士として有名な人物であり、誇らしくもあるが煩くも感じていた(理性、のもとでの生活)。その父に男手一つで育てられた。

 騎士としての鍛錬と勉強の日々は大変でもあったが、兄弟のなかったクロワにとって同年代の仲間との生活は楽しかった(解放)。

 クロワ達を教練する騎士達の一人、老騎士ローゼンバーグ卿はクロワの父にも劣らず厳しい人物で、尊敬と共に畏怖の念を集めている人物だ。

 そんなある日、ある一国が戦争を始めていた。その国の王、ホスゲンは情け容赦のない人物(寛容の逆)で平気で和平条約を破り攻め込んでゆく(調和の逆)。

 そのホスゲンの後ろには大国の一つがついていて、なぜかあらゆる国内の寄宿舎ばかりを重点的に狙わせ、まだ年端も行かないスクワイヤ達を捕らえていっていた。そんな噂は辺境に住むクロワ達にも聞こえてくる。クロワは助けたい一心で規律に反し、寄宿舎の敷地から抜け出て前線を越えて助けに行こうと仲間達数人と行動する(厳格の逆)。

 だが、あと少しで敷地から抜け出るというところで、ローゼンバーグ卿に発見され手酷く打ちのめされてしまう(庇護の逆)。

 ベッドで自分の無力さに悔しさを覚えながら傷の快復と共に今まで以上に鍛錬に熱心になるクロワ。戦争の火影はついに辺境の見習い騎士達を前線へと飲み込もうとしていた。

 修行期間が足りないのを承知しつつ、真新しい鎧に身を包み騎士宣誓を受けて前線へと送り出される若い騎士達。その中にはクロワの姿もあった。

 寄宿舎で迎える最後の夜、クロワの元に珍しく父が訪れ、銀のアミュレットを手渡す。父の質素な生活にはそぐわない高貴そうなつくりの品に、戸惑うクロワ。美しい女性の姿が象られているそれは、クロワの母の形見であると父は言う。

 自分の妻は、ホスゲン王を動かしている大国と対立する大国の姫の影として仕える者であり、今はその大国は前の戦争で力を無くしているが、今でも再興の機会を捨ててはいないという。そして、それには戦争の最中行方知れず(秩序の逆)となった王子が軍の指揮に立つ事が必要であると。

 その王子というのがクロワである。託された子(生命)である。と、クロワの父は告げる。クロワは大国の王子であり、父であると思っていた人物は実の父ではなかった。

 各国の寄宿舎を襲っているのは大国の魔導師が占いにより、王子が寄宿舎で騎士として修行を積んでいると言う事だけはわかったからで、この王子が大国の世界制覇(結合)の野望の妨げになると出たからだという。

 急な出来事(変化)にクロワの心は定まらない。王子となればその運命に従わなければならない(制約)。

 クロワは父を置いて駆け出してしまう。一人、森の泉のほとりで立ちすくんでいると、教練係の騎士の一人がやってくる。この騎士は優しくものを教える人物だったので、皆から慕われていた。いつもどおり柔らかな物腰で話していたのだが、クロワの手に握られたアミュレットを見つけると、形相を変え剣を振り下ろしてくる。この人物は大国からのスパイ(結合)だった。なりたての騎士と甘く見てかかってくる相手に、クロワは死に物狂いで闘う。自分の無力さに打ちのめされて以来修行に励んできたのだから。そして後一歩で勝てそうなときに、相手のスパイに毒を吹きかけられ、窮地に陥る。それを救ったのがローゼンバーグ卿だった。ローゼンバーグ卿は相打ちとなり死んでしまう。

 その後アミュレットを証しとして掲げ前線に王子として立ったクロワは勇猛に戦い、その解放の勢力を広げていっていた。

 ある戦いで矢を受けて倒れてしまうがアミュレットに当たり、無傷だった。それを味方は神の加護だと喜ぶ。だがクロワはアミュレットの内部に二重に掘り込まれた一文を発見してしまう。

 自分は王子ではなく、母と同じ影の子である。と。大国の王の影武者と王妃の影の間に生まれた影の王子である(公式の逆)。それが判る内容だった。

 そして、そんな混乱の最中育ての父親が前線で死んだと知らせが入り最後にしたためたと言う手紙が届く。アミュレットは近しい人を身代わりにクロワの生命を助ける物である。そして、それは本物の王子を探し出し受け渡すまで続く呪いなのだと。本物の王子は敵の懐に隠れている味方が命がけで守っている。そして最後に許して欲しいと一文。

 クロワは自分を育ててくれた両親や、助けてくれたローゼンバーグ卿始め仲間達に報いるためにもこの運命を受け入れる(至誠)。

 END



所要時間約1時間半。

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